紋章:ペトロの鍵、闘う獅子、そして開かれた街へ
ライデンの街を歩いていると、繰り返し見かけるものがあります。
"X"を描くように交差する2本の赤い鍵です。

写真は、ビュルフト要塞前の門の彫刻(1658年建造)
実はこれ、ライデン市の紋章です。少なくともライデンが都市の特権を獲得した13世紀には、この鍵がライデン市の紋章としてシール(文書に蝋をたらして押す印)に使われていたようです。由来は、ライデン最古の教会、1121年設立の聖ピータース教会(蘭: Pieterskerk)にあります。 聖ピーターとは、日本では聖ペテロと呼ばれるキリスト12使徒の一人。聖書によると、キリストはペテロに神の国への鍵を与えると言ったとか。このことから、ライデンの紋章は聖ピータース教会の聖人ペテロにちなみ、神の国への鍵となったのです。

写真は、市門 Zijlpoort の彫刻(1667年建造)
統一されていないように見えるのは、紋章の歴史が古く、時代により異なるデザインが用いられ、なおかつそれらのデザインの紋章を掲げる古い建物が現在まで残っていて、わたしたちの目に触れるからです。

写真は、運河にかかる橋に刻まれた紋章
現在のライデン市の紋章は、冒頭の写真「ビュルフト要塞前の門の彫刻」が一番近いでしょう。交差する2本の赤い鍵が描かれた銀色の盾、その盾を左前足で支え、右前足は金の束に銀色の刃の剣を振り上げたライオン。そして"Haec libertatis ergo(英:This is for freedom)"の文字。
※ ビュルフト要塞前の門外側には"Pugno pro patria(英:I fight for my country)
ライオンや上記のラテン語の文字が市の紋章としてシール(印)に表れはじめたのは、スペインからの独立戦争を闘った16世紀のことだとか。
紋章とは別に、ライデン市には、市のオフィシャル・ロゴがあります。

写真は、公共のゴミ箱に描かれているライデン市のロゴ
紋章を見かけたら足を止めてみましょう。2本の赤い鍵は、歴史ある建造物であるしるし。ガイドブックには載っていなくても、逸話の隠れた見どころを目の前にしているに違いありません。
写真は、旧裁判所(13世紀建造)の西側建増部分Vierschaar(17世紀建造)
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