2007/07/26

旅行者に親切な街

ライデンは旅行者に親切な街です。

街のところどころに大きな市街地地図があります。

現在地もおしえてくれるので、旅行者の強い味方です。

また、迷いやすい分かれ道には緑の棒に白い旗というかんじのサイン(写真)があり、どっちに行けば何があるかおしえてくれます。
ガイドブックやTourist Informationでもらえる地図(英語とオランダ語の併記)に載っている見どころのオランダ語表記と、サインを見比べてみましょう。

サインに最も頻繁に出てくるのが"Leidse Loper"。いろんな場所で、いろんな方角を指していて、その通り進んでも全然たどり着かない。いったい何処にあるねん!


実はこれ、建物の名称ではなく、ライデンの主要な見どころをまわる街歩きルートのこと。
Leidse Loper (英:Leiden's Walk)に選ばれた見どころのそばには、観光客が見逃すことのないようよう、STOPサインが出ています。その見どころの名称も、STOPサインの上に赤字で書いてあります。
写真は、旧裁判所(蘭:Gravensteen)のSTOPサイン。

見どころには、歴史や逸話などを説明するボードがあります。説明はオランダ語と英語。
両言語とも苦手な場合は説明の横にある絵をじっくり見ましょう。これはという歴史の一場面が描かれていたりして、それだけでも物語が伝わってきます。

写真は、旧裁判所(蘭:Gravensteen)の説明ボード。
絵は、中世に旧裁判所前の広場Gerechtで行われた公開処刑の様子です。


もちろん、"Leidse Loper"以外にも、魅力ある見どころがたくさんあります。
街歩きの際に、茶色のボードを見かけたら、是非立ち止まってみてください。その建造物の由来がオランダ語と英語で説明されています。たまに、オランダ語しか書かれていないときも、建造年を表す数字は分かるはず。

また、英語とオランダ語は同一または似ている単語も少なくないので、school(英:school)= 学校、schip(英:ship)= 船に関係ある建物、などと推測できます。
さらには、近所の人に英語で(もちろんオランダ語でも)尋ねるという方法も。親切な人が多いので、時間が許せば知っていることをおしえてくれるはずです。

ライデンでは、少しくらい迷っても大丈夫。

いえ、むしろ、そのほうが思わぬ発見ができるかも。
説明ボードはなくても、旅人の興味をかきたてる歴史を刻む建物が、いたるところで待ちかまえていますから。

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2007/07/16

静かな生活:聞こえるのは鐘の音

ライデンは静かな街です。

もちろん、駅周辺やショッピングストリートなど、人の集まる場所はそれなりに賑わいがあります。それでも、日本の都会の感覚からいうと、驚くほど静か。

まず、お店が音楽を流していない。
いえ、音楽を流してるお店はゼロではないでしょう、きっと。でも、筆者は今、一店も音楽を流しているお店を思いつけません。
日本のお店は、売物がなんであれ、基本的に音楽がかかっていますよね。中には、テーマ曲まで作っているところも(某ドラッグストアやスーパーマーケットなど)あるじゃないですか。商店街を歩くと、右のお店の音楽と、左のお店の音楽と、はたまたそれらの両隣のお店の音楽が、渾然一体となって襲いかかってきたり・・・。さらに、商店街のテーマソングまで、ダメ押しで聞こえてくることも(とは言え、大阪で戦中の大空襲を唯一生き延びた商店街「千林商店街」のテーマソングは、下町の名曲です)。

カフェやレストランも静かです。日本で音楽のかかっていない喫茶店は、ものすごく少数派ですよね。レストランでも、なにげなく雰囲気のある曲を流していたりするし。
ライデンのカフェは、音楽を流していないせいか(もちろん流しているカフェもあるのでしょうが)、お客さんの会話の声も耳障りなほど大きいということは、まずありません。
そうそう、いかにもバーという感じのバー(半カフェ半バーのようなところでなく)は別です。中には生バンドの演奏を聞きながらビールを傾けるところもあるくらいですから。

さらに、ライデンが静かな理由として、車がクラクションを鳴らさない。ライデンでは筆者は車を運転しておらず、旧市街に相当する比較的車の交通量が少ないところに住でいるせいかもしれませんが、10ヶ月滞在して、クラクションの音を聞いたのは、たった一度だけです。
日本では、何かあると、すぐクラクションを鳴らしていないでしょうか。それも、危険を知らせるなどの注意喚起以外の目的でも。または、注意喚起の場合でも必要以上に長く、もしくは多く。お礼の意味で鳴らすクラクションのせいで、やっと昼寝をした赤ちゃんが目覚めてしまうことが続き、育児ノイローゼになりかけたと嘆く知人も、日本にはいます。

言うまでもなく、選挙が近いからといって、スピーカーから(他言語に訳そうとしても意味がなくてほとんど訳せない)大音量を垂れ流す車が街を巡回するなどということは、ライデンではありえません。

と、ここまでくると、日本に比べてライデンは無音に近い状態なのかというと、さにあらず。市街地内に、毎日、それも日に何度も、響き渡る音があります。市役所の塔の鐘の音です。

15分ごとに鳴る(少なくとも昼間は)この鐘の音にはメロディがついていて、そのメロディも何パターンかあるのですが、筆者が気に入っているのはバッハのメヌエット。もちろん、この鐘の音が、丸の内や梅田や天神に流れても、それはそれで和みをもたらしてくれるでしょう。が、ライデンの赤レンガと石畳の町の中で聞くと、時の流れまで緩やかになっったかのよう。日々の喧騒など遠のき、数百年の時を遡るような感覚は、ライデンの魅力をいっそうひきたたせてくれます。

ちなみにオランダ語の klok には、英語での clock の他に bell の意味もあります。人々が腕時計など持たず、家にも時計などなかった長い期間、教会や市役所の鐘が人々に時を知らせてくれていたからでしょう。余談ですが、定期的に(鐘や鳩の鳴き声などで)時を知らせてくれる時計を、もともと clock と読んでいたそうです。今では、一日に一度目覚めのときくらいにしか鳴らず、感謝もされず(アラームを止めるため)叩かれる clock がほとんどですが。

ライデンの街を訪ねることがあったら、15分ごとに響く鐘の音にも耳を傾けてみてください。市役所を取り巻く市街地内のかなりの範囲で聞こえます。ゆっくり鐘の音を楽しみたい場合は、Nieuwe Rijn沿いなど市役所近くのオープンカフェに腰を下ろして待つのもいいかもしれません。これなら聞き逃すことはありえません、カフェには邪魔になる音楽はかかっていませんから。

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